構造と作動
CAN通信システム
VSC装着車のブレーキ系制御に,通信回路によってデジタル信号に変換された複数項目の情報やデータを,一対の通信線(ツイストペア結線)で伝送するCAN
*
[ISO11898]通信システムを採用しました。これにより,入力系(センサー・スイッチなど)・制御ユニット・出力系(モーターなど)をそれぞれ結ぶシステムに対して,ワイヤハーネスの削減および電子制御システムのスリム化をはかりました。
□ 参 考 □
* : CANとはController Area Networkの略称で,ISO(国際標準化機構)の規格に準拠したシリアル通信です。
CAN通信システムは,CAN HighとCAN Lowの2本の通信線(バス)を一対としてその差動電圧によりバスのレベル
*1
を判断し,これを専用の通信プロトコル(通信規則)に準じたデジタル信号として500kbps
*2
の速度で伝達されます。
□ 参 考 □
*1:バスのレベルにはドミナント(優性)レベルとレセッシブ(劣性)レベルとがあり,CAN通信システムでは論理的にドミナントは“0”,レセッシブは“1”と判断されます。
*2:信号の伝達速度を表す単位。“500kbps”は1秒間に500000ビットのデータが伝送されることを表します。
CAN通信システム構成
構成
CAN通信システムネットワーク
CAN通信システムを構成するコンピューター(ECU)およびセンサーは,通信線を用いて各種のデータを送受信することにより,ABS・ブレーキアシストなどの制御を行います。
ステアリングアングルセンサーとスキッドコントロールコンピューター間のCAN通信線(バス)を本線
*
とし,ヨーレート・Gセンサー・DLC3が支線で結線されています。
□ 参 考 □
* : 終端抵抗(120Ω)はバス本線に設けられています。これにより,ループ結線されているネットワークから差動電圧を判断することができます。
CAN通信システム対応コンピューター(ECU)・センサー一覧
コンピューター・センサー名称
主な制御機能
スキッドコントロールコンピューター
ABS・ブレーキアシストなどを制御。
ヨーレート・Gセンサー
車両本体の前後左右方向への減速度を検出し,スキッドコントロールコンピューターへ送信。
ステアリングアングルセンサー
ステアリングの操舵角・操舵方向を検出し,スキッドコントロールコンピューターへ送信。
CAN通信システム機能
CAN通信プロトコル(通信規則)
CAN通信システムは,ネットワークを構成するすべてのECU・センサーが,一対の通信線(バス)を利用し,時間をずらしながらデータを送信することも受信することも可能とした,時分割多重双方向通信システムです。このため,通信がスムースかつ確実に行われるよう,各ECU・センサーは共通の通信プロトコル(通信規則)に従って通信を行っています。
CAN通信プロトコルには,すべてのECU・センサーにデータ送信を開始する権利を持たせながら一対の通信線を共有できるよう,通信線へデータを送り出す規則としてCSMA/CD(衝突検出付き搬送波感知多重アクセス)方式
*
が採用されています。
□ 参 考 □
* : Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection 常時各ECUが通信線の状態(搬送波)を感知し,通信線に他のデータが流れていないときに限りデータ送信を開始する通信アクセス制御。またこれに加えて,データが衝突した(他のECUから同時にデータが送信された)ことを検出した場合には,一定時間待機した後,再びデータ送信を行う制御。
各ECU・センサーはCANバスに他のデータが流れていない状態でデータ送信を開始しますが,同時に2つ以上のECU・センサーが送信を開始したときには,送信されるデータ自体が含むIDの情報に応じて,送信優先順位の判定を行うシステムとしました。
CAN通信システムで用いられるデータは「ID」,「DLC」,「DATA」,「CRC」,「ACK」などで一つのフレームを構成しています。