その他のエアコン構成部品

外気センサー

IRセンサー(Infrared:赤外線)

構造と作動

  1. 特徴
    1. IRセンサーは,センサー取り付け部などの温度変化や室内の空気温度に影響を受けることなく測定対象物の温度を正確に検出することができるため,長時間のエアコンの使用や吹き出し口の向き・風量などに関わらず,安定した空調制御を行うことができます。

  2. 原理
    1. 赤外線エネルギーを,検知部表面の赤外線吸収膜が吸収し熱に変換することで,検知部の温度が変化します。この温度変化を熱電対により電圧に変換しています。

  3. 機能
    1. IRセンサーは,下記の表(IRセンサーによる空調補正)のような補正を行うことにより,乗員の温感に合わせた空調を行います。なお,センサー出力は検知範囲内の温度とその面積比で決定します。
    2. IRセンサーによる空調補正
      項 目
      機 能
      熱履歴補正
      • 乗員が寒い(暑い)車外から乗車した場合,IRセンサーがすばやく乗車乗員の温度を検出し,これをオートエアコンコンピューターに出力することにより,体感温度が最適になるように制御を行います。
      ふく射補正
      • ウインドゥガラスの内側温度を検出し,これをオートエアコンコンピューターに出力することにより,ウインドゥガラスなどからのふく射による体感温度の変化がなくなるように制御を行います。
      低仰角日射補正
      • 車室内に射し込んでくる日射による乗員の顔や着衣などの温度上昇を検出し,これをオートエアコンコンピューターに出力することにより,体感温度が最適になるように制御を行います。

エバポレーター後センサー

圧力スイッチ

液温センサー

コンデンサー(デンソー製)

構造と作動

  1. サブクールコンデンサー
    1. 構造
      1. 従来のレシーバーサイクル(コンデンサー+レシーバー)では,コンデンサーで凝縮後の気液2相冷媒をレシーバーにて気液分離し,液のみをエバポレーターに送っていました。サブクールコンデンサーでは,一つのコンデンサーの中を凝縮部と過冷却部とに分けて,その間に気液分離器を配置することにより,一度気液分離した液冷媒を,さらに冷やすことで液冷媒自体の持つエネルギーを増大させ,冷房性能の高効率化をはかりました。

サブクールサイクルの冷媒ガス充填

  1. サブクールサイクルの冷媒ガス充填上の注意
    1. レシーバーサイクルでは冷媒ガスの泡消え点が冷房能力安定域(棚)の入り口にありますが,サブクールサイクルでは泡消え点が冷房安定域(棚)の手前にあるため,適正充填量まで100g補充(適正冷媒充填量:360±30g)する必要があります。(泡消え点で冷媒ガスの補充をやめると冷房能力が不足気味になります)なお,オーバーチャージも燃費悪化や冷房能力不足となりますので適正冷媒ガス量の充填を実施してください。

電動ファン

構造と作動

  1. 作動
    1. 電動ファン3段階制御
      1. A/CスイッチのON/OFF信号,電動ファン制御用圧力スイッチ(中圧カット用)の検出によるON/OFF信号およびエンジン制御用水温センサーの検出によるON/OFF(高温/低温)信号に従って,以下の条件で電動ファンの回転数を制御します。
      2. 電動ファン制御条件
        A/Cスイッチ
        圧力スイッチ
        水 温
        電動ファン
        OFF
        OFF
        OFF
        HI
        ON
        OFF
        LO
        HI
        0N
        HI
        HI

コンプレッサー(デンソー製)

外部制御式連続可変容量コンプレッサー

  1. 構造
    1. シャフトが回転するとシャフトに直結されているラグプレートを介して斜板が一体で回転します。この斜板の回転運動をシューを介してピストンのシリンダー内での往復運動に替え,冷媒の吸入・圧縮・吐出を行います。容量の可変制御は,熱負荷やエンジン回転数などの変化に伴い,流量制御弁によってクランク室の内圧を制御し,斜板の傾き角度を変えてピストンストロークを変化させ吐出容量を制御します。外部制御式連続可変容量コンプレッサーは流量制御弁への制御電流値を変えることで,制御する低圧圧力を無段階に変化させることにより吐出容量制御幅を広くし,快適性の向上および省動力化をはかっています。また,0%~100%まで連続的に容量を変化させるため,断続機構のあるマグネットクラッチを不要としています。

  2. 特徴
    1. 流量制御弁
      1. 従来の可変容量コンプッサーは,吸入圧力を検知し制御を行っていましたが,新たに採用の流量制御弁は吐出圧力の絞り前後の差圧を検知し制御を行います。これにより,従来の制御弁はトルクコントロールが困難でしたが,流量制御弁は差圧がトルク比例することでトルク推定制御を可能とし,コンプレッサーのトルクに合わせた最適なエンジン制御を行います。
    2. 樹脂DLプーリー
      1. DLプーリーは,コンプレッサーのトルク変動を吸収するためのダンピング機構と,コンプレッサーロック時のベルト保護のためのリミッター機構を内蔵しています。また,プーリー部を従来の鉄製から樹脂製にすることにより大幅な軽量化を可能としました。

  3. 作動原理
    1. 容量を大きくする必要が生じた場合の作動
      1. 熱負荷が大きくなった場合や加速制御などが終了し容量を大きくさせる場合,ベローズを縮ませてバルブを閉じるため,高圧圧力は遮断されます。これにより,クランク室の内圧は徐々に低くなり,最終的には斜板室の内圧=低圧圧力となります。このため,ピストンの左面にかかる圧力(低圧圧力)+ラグプレートからの反力がピストンの右側にかかる圧力・シリンダーの内圧より低くなり,ピストンが左側に動かされて斜板の傾きを大きくします。この結果,ピストンストロークは大きくなります。(吐出容量大)
    2. 容量を小さくする必要が生じた場合の作動
      1. 熱負荷が小さくなった場合や加速時・高速運転時など容量を小さくさせる場合,ベローズが膨らんでバルブが開くため,高圧圧力がクランク室に導かれます。これにより,斜板室の内圧が高くなります。このため,ピストンの左側にかかる圧力(斜板室の内圧)+ラグプレートからの反力がピストンの右側にかかる圧力より高くなり,ピストンが右側に動かされて斜板の傾きを小さくします。この結果ピストンストロークは小さくなります。(吐出容量小)

  4. コンプレッサー制御
    1. エンジンコントロールコンピューターにより,コンプレッサーの稼動容量を制御します。
    2. エンジンコントロールコンピューターは,A/C ON/OFF信号やアクセル開度および車速などの入力信号に従って,コンプレッサーの稼動容量出力を行います。
      1. エバポレーター後センサー判定
        1. エバポレーター後センサーの検出温度が3℃以下のときエンジンコントロールコンピューターはコンプレッサーの稼動容量を0%にし,エバポレーターの霜付きを防止します。
      1. 発進・中間加速制御
        1. スロットルポジションセンサーからの入力信号に従って,図のように発進および中間加速時には瞬時に稼動容量出力を落として加速時の燃料噴射量を下げるとともに,加速性能を向上させます。なお,時間をかけて徐々に稼動容量出力を上げて行くことで復帰ショックの低減をはかっています。
      1. 高回転容量制御
        1. エンジン回転数に従って,図のようにコンプレッサーの稼動容量を制御します。高回転時には稼動容量を落として必要冷房能力を確保しつつ省動力効果をはかっています。なお,エバポレーター後センサーの検出温度により,二通りの稼動容量を出力します。