ディスチャージヘッドランプ構造

ディスチャージヘッドランプ

ディスチャージヘッドランプ

  1. 特徴
    1. ディスチャージヘッドランプは,ハロゲンヘッドランプバルブに対し,優れた特性を持つHIDバルブ(高輝度放電管)を光源に用いたヘッドランプです。
    2. HIDバルブから発せられる光は太陽光に近い自然な昼光色となり,前方をより広くかつ遠方まで照射するため,ドライバーの視認性向上に役立つほか,消費電力が少ないことからバッテリーへの負担が軽く,バルブの寿命も長いといった長所を合わせ持っています。
    3. ディスチャージヘッドランプには,HIDバルブの瞬時点灯と電源安定供給を実現しながら,小型・軽量のライトコントロールコンピューターを備えるほか,対向車への眩惑光防止措置として,上下光軸を随時調整できる手動レベリング機能が組み合わされています。
    4. ディスチャージヘッドランプ(D2R)・ハロゲンヘッドランプ(H4)の特性
      項 目
      ディスチャージヘッドランプ
      ハロゲンヘッドランプ
      高光量
      前方視認距離[m]
      約100
      約80
      左右視認幅[m]
      約22
      約18
      光束[lm]
      約2800
      約1650/1000
      長寿命
      平均寿命[h]
      約2500
      約1000
      低電力
      消費電力[W]
      41(35+6)
      60/55
      白色光
      色温度[k]
      約3900
      約3300
      □ 参 考 □
      * : バルブ単体性能です。

  2. 構成
    1. HIDバルブ
      1. HIDバルブの発光管内には,希ガス(キセノンガス)・水銀・金属ヨウ化物(ナトリウム・スカンジウム)が封入されています。
      2. 発光管の外管は紫外線を吸収するUVカットガラスとして,ハロゲンバルブと同等の紫外線放射量に抑えられています。
    2. ライトコントロールコンピューター
      1. ライトコントロールコンピューターは,HIDバルブを点灯するために必要な交流(AC)電源を供給する装置です。
      2. 交流電源の周波数は数百Hz以上とすることで,点灯時にちらつきを感じさせないよう配慮するとともに,電磁波によって車載ラジオなどに影響を与えないよう電磁シールド対策も施されています。
      3. ライトコントロールコンピューター仕様(25±5℃時)
        項 目
        仕 様
        定格電圧[V]
        13.5
        作動電圧[V]
        9~16
        最大発生電圧[V]
        22000±3000
        最大入力電流[A]
        20以下
        最大出力電流[A]
        2.4±0.2
        最大出力電力[W]
        64±6
        定常時入力電流[A]
        3.5以下
        定常時出力電力[W]
        34±2
        定常時点灯周波数[Hz]
        320+70/-50

  3. 作動
    1. ライトコントロールコンピューターは,点灯初期時に最大約20000Vの高電圧を発生させるなどの制御によって,HIDバルブの瞬時点灯と安定した継続点灯を実現しています。なお,この装置は高電圧を発生するため,各種のフェイルセーフ機能が盛り込まれているほか,熱・湿度・振動などに対する信頼性の確保にも配慮されています。
    2. HIDバルブ点灯制御の流れ
      1.HIDバルブの両電極間に高電圧(約20000V)が印加される。
      2.発光管内に高圧封入されたキセノンガスが電離した後,放電する。
      3.放電によって発光管内温度が上昇。これにより,水銀がアーク放電する。
      4.水銀アーク放電によって発光管内温度はさらに上昇し,金属ヨウ化物が蒸発する。
      5.蒸発した金属ヨウ化物(ナトリウム・スカンジウム)が,水銀アーク内で金属原子とヨウ素原子に解離する。
      6.金属原子が励起され,特有のスペクトルで発光する。
      1. フェイルセーフ機能
      2. フェイルセーフ機能一覧
        状 態
        内 容
        出力異常検出時(ショート・オープン・リーク検出)およびバルブ点滅時
        出力電圧に異常が発生した場合またはバルブの点滅症状が60秒以上継続した場合は,ヘッドランプの点灯を中止し,電源を再投入(ライトコントロールスイッチ OFF→ONまたはイグニッションスイッチ OFF→ON)するまでのその状態を維持します。
        入力異常検出時
        入力電圧が作動電圧(9~16V)よりはずれた場合は,ヘッドランプの点灯を禁止し,作動電圧範囲に戻るまでその状態を維持します。ただし,ヘッドランプ点灯後に入力電圧が低下した場合は,点灯維持限界電圧(6V以下)になるまで点灯を継続します。
        ランプ電圧異常検出時
        ランプ電圧異常が検出された場合は,ヘッドランプの点灯を中止し,電源を再投入(ライトコントロールスイッチ OFF→ONまたはイグニッションスイッチ OFF→ON)するまでその状態を維持します。
        ■ 注 意 ■
        • ライトコントロールコンピューターの出力端子部には高電圧が発生し,大変危険ですから取り扱いには十分に注意してください。なお,危険防止のためヘッドランプ上面・下面とライトコントロールコンピューター部にコーションラベルを配置しました。

  4. 取り扱い上の注意
    1. ディスチャージヘッドランプのバルブ交換は,必ずトヨタ販売店にて実施してください。
    2. バルブのガラス部分と電極部分は,高電圧が発生し危険ですから触らないでください。
    3. バルブの点灯は完全に組み付けが終了してから行い,車以外の電源は使用しないでください。
    4. 車両衝突などにおいて,ライトコントロールコンピューターとヘッドランプに,次のような損傷(交換必要例一覧)が見受けられる場合には,ライトコントロールコンピューターまたはヘッドランプを交換してください。
    5. 交換必要例一覧
      • ライトコントロールコンピューターに明らかな変形(そり・ねじれ・へこみ・打痕・割れ・欠けなど)がある場合。
      • 各コネクター・バルブソケットの樹脂部の割れ・欠けや,ターミナル部の変形がある場合。
      • ソケットカバーの変形などにより,リフレクター側のアース部との接触が不安定な場合。
      • 高圧ハーネス・電源ワイヤハーネスに傷がある場合。